日本語練習帳

つらみのラプソディを歌います

呟き

エネルギーと(系の特徴的な)時間について成り立つ不確定性関係は、大学でほんの少しでも物理に触っていればお馴染みの事実であるが、位置と運動量についてのそれとは証明の指針が異なるのもまたよく知られた事実である。

その一つの指針を示したのが、Mandelstam及びTammであったというのは今日に至るまで知らなかった。

出典は岩波講座 現代の物理学という化け物のようなシリーズの第3巻『量子力学』で、著者は河原林研さんという既に亡くなられた物理学者である。

その方針とは、三角不等式とHeisenbergの運動方程式をシンプルに組み合わせるというもので、ある期待値についての関係式が導かれる。期待値だからSchrödinger描像にも移行可能である。肝心の時間の定義が割と面白くて、ある演算子の時間変化の期待値を求め、それ自身で演算子の期待値を割ったものを考える。そしてこれを可能な全ての演算子について求めた後、最小値を「系の特徴的な時間」とする。そうすると、不等式としてはギリギリの強い主張になるというわけだ。

折角なのでこの辺りの基礎は抑えておきたい。

呟き

Windows8.1が搭載されたマシンでSlackware64をUEFI Bootするために必要な、いくつかのインストール手順について、以下のサイトが参考になりそう。実際に参考になれば記事をまとめ直します。

www.linuxquestions.org

動機としては、既にプリインストールのWindowsUEFIモードなので、Slackwareを起動するためだけにそこをわざわざBIOSの設定でLegacyモードに変更するのは癪だという話。WindowsSlackwareUEFIで起動せよというお気持ち。

数値計算を研究室のmacでやるようになってから、例えWindowsマシンであっても、そういうことをする時はLinux上でやるのが自然な流れだと思った。

呟き

リゼロの6,7巻を読了した.RPGで言うところの「どん底への落下」からの「作戦会議」が漸く始まった感がある.

Physica A

Magnetic properties of a diluted spin-1/2 Ising nanocube

spin-1/2の六角格子を更にspin-2/3の格子で1次元的に取り囲んでそれをz軸方向に沢山コピーした六角柱型のIsing mixed spin系を調べている.(free energy的な意味で)1次転移とか2次転移が起きるらしい. compensation phenomenaって何だろう.直訳すると「補填効果」かな.後,三重臨界点も存在するらしい.isolated critical pointって何だろう.「孤立臨界点」…? このへんの話は,磁気光学ディスクとかの応用と関係があるらしい.


Exactly solved mixed spin-(1,1/2) Ising–Heisenberg distorted diamond chain

これもある種のmixed spin系である.

arXiv

夜にまたチェックします.

APSJ

Phys. Rev. X 6, 041029 (2016) - Geared Topological Metamaterials with Tunable Mechanical Stability

トポロジカル系を歯車によって実現し,電気伝導とか諸々をいろいろ調べたところ,目に見える格子の形状と(純力学的な物に限らない非自明な)物理的特性がある程度対応してわかったという画期的なお話.


Phys. Rev. X 6, 041007 (2016) - Electron Doping a Kagome Spin Liquid

カゴメ格子のスピン液体をtomochemical synthesisという方法によって遊んでみたやつ.

帰り道 + 呟き

買い物

寒い中をわざわざ寮に帰る時間を押してまで新宿のアドホックビルにある紀伊國屋書店まで寄った.

その目的はこれを買うためである.

もともと,5巻を読んでいる最中であったが,どうも手元に続編が無いと落ち着かないもので,Amazonを頼るでもなくこうやって書店に直接足を運んだ.

東京に来てからというもの,割と普段使う鉄道の沿線でふらっと歩いていける場所に書店がないのが気になる.まさか「神保町へ行く気力もないのに本が読みたいなどと抜かすでないぞ」ってわけでもないだろうし,やっぱり梅田周辺に(偶然)密集していただけだったのかな.ちなみに,梅田周辺には

と大型書店(ヒルトンは例外かもしれないが)が立ち並んでいる上に中規模の書店やオタクショップもがっつりあるのだ.

…ここまで書いてから,自分があまり秋葉原や渋谷でお金を貢いでないことに気付かされた.秋葉原は何度も足を運んだ割にピンポイントで欲しい物を買いに行ったことがあるだけだから,真に「彷徨く」ということをしてみるべきなのかも知れない.ただ少なくとも,まんだらけ秋葉原よりも(心斎橋の)グランドカオスの方が色々置いてあったなぁ.

アニメ

昨晩は偶然,イリヤの空,UFOの夏のOVAを(途中までだが)観る機会を得た.原作は一家に一冊と言われるこれだ.

DVDについてはもはや新品では販売されてなくて(原作が2001年のものなのだから当然),こうやって中古で漂流するのをキャッチするしかないわけである.

イリヤの空、UFOの夏 1 [DVD]

イリヤの空、UFOの夏 1 [DVD]

私は原作しか読んだことがなく,読んだのも高校1年の頃だったので,そうとうにストーリーを忘れてしまった.しかし,何となく話のテンポが速くて,「早く次が読みたい」と思わせるようなものでもなかった気がする.

むしろ,こう「目を背けたくなるようなシーンが来るのを予期してページをめくるのをついつい渋ってしまう」とか「ずっと終わらないで欲しい,感慨に浸るためなら読むのを辞めるのだって厭わない」という気持ちに類する作品だったような.読んだあとも,(もちろん泣ける作品ではあったのだが)うーむ,と考え込んでしまってそれっきりみたいな感じになってしまった記憶がある.私の性格がそうさせたのか,むしろちゃんと読んでいなかったのか.

いずれにしろ,このOVAに触れるのは初めてで,あまり乗り気でなかったものの,夜遅くなのに一気見してしまいそうなほどには良い出来のアニメであった.この時代の作品特有の作画というか,電撃文庫の黎明期の象徴というか,そういうものが溢れていて,「限界オタク」にならざるを得ないオタクの気持ちがわかった気がする(懐古オタク).

灼眼のシャナとかも途中で読むのすらやめてしまったし,ちゃんと読み終わった上でアニメと映画は見届けたいですね.

あともう一つ,今期のアニメで少なくとも

flipflappers.com

だけはもっと評価されるべきだと思った.

呟き

arXiv

有限サイズのdouble-well trapに押し込められた凝縮体(BEC)が安定であるためには,Josephson junctionを通じて流れる粒子の特徴的なtime scaleが短い(流れが十分速い)ことが必要であることが示されている.

Nonequilibrium Josephson oscillations in Bose-Einstein condensates without dissipation

直感的には,浴槽で水が溢れないためには浸かる人間がそれなりに速く運動する必要があるという(みんながやったことのある)それに対応するだろう.運動を断熱的にゆっくりしていくといつか水が溢れ始めて大変なことになる.その臨界点みたいなのが共鳴振動数になっている.ただ,この論文の場合はむしろ粒子浴が2つあってその間を流れる粒子流のJosephson oscillationの振動数がtime scaleと結びついているので,古典的な描像からはちょっと遠い.

元となる論文はPRLのようだった.

journals.aps.org


上の論文について,一旦粒子が溢れ始めて(基底状態における)Josephson振動が(異なる離散準位間の)Rabi振動に切り替わった場合にどのような凖粒子生成ダイナミクスが予想されるかという問題に対する答え. もちろん,圧倒的非平衡状態に持っていかれるのは自明だが,そこでもいくつかの(非自明な)ことが言えて,Keldysh-Bogoliubov方程式というのを使えば色々分かるらしい.ぶっちゃけ専門外なのでさっぱりであるが,まともに勉強してみると間違いなく面白い分野だと思った.

Inflationary quasiparticle creation and thermalization dynamics in coupled Bose-Einstein condensates

これも元はPRLにちゃんと上がってる.

journals.aps.org


Contact angle entropy and macroscopic friction in non-cohesive granular packings

粉体を2次元上の円の充填(あるいはひょっとすると3次元での急の充填)という描像で捉える場合に,Contact angle entropyという量を用いると,その摩擦を評価することが出来るという話.3つの球が互いに接する角度が全体にどのように分布しているかを評価するのが(おそらく)文字通りContact angle entropyで,そこから直接的にmacroscopic frictionが分かるというのは,いかにも(表層的な物理量に依存しない)物理という感じがして良い.時間があったらちゃんと読んでみよう.


Critical behavior of mean-field XY and related models

今日見た中で一番数学的な考察が色濃い論文で,ちょっとタイトル詐欺だなと思った.完全グラフ上でスピン系(ここではXY模型)を考えた場合,どうやら頂点の数が多い極限が平均場に相当するらしい(物理の意味での平均場と等価かどうかは知らない).そのような場合には一般の {N}ベクトル模型に結果を拡張しつつ色んな事が言えて,それでも見ている量は(無限小外場の下での)磁化だったり自由エネルギーだったりする.こういうのは全く読み慣れていないので,一度はちゃんと目を通すべきかも知れない.


研究

とりあえず,energy pumpingとenergy dissipatonのbalancingが非平衡定常状態で,その描像のもとでの摩擦評価もちゃんと出来るということが数値データ及びグラフからもわかった.

あとは,DWがあるときに圧倒的なtime stepを稼いでちゃんとNESSが実現されているかどうかをみるだけだが,無理そうならそのデータとともに簡単な理論的考察も据えてgive up するしかないんだろうなぁ.

PRB論文 "Magnetic friction: From Stokes to Coulomb behavior"

この記事で言いたいこと

  • APS Journalを巡っていたら,とある重要そうな論文に出会った.

  • その論文は,スピン系の磁気摩擦の持つ性質に関する話であり,(状況設定が十分に広ければ)Stokes摩擦及びCoulomb摩擦という2つの理想極限(後述)がスピン系においても観測されるという(数値)計算結果である.

  • 興味のある方は,以下のリンクに目を通して下さると嬉しい.

journals.aps.org

  • これはレビュー記事ではないので,内容の詳細なフォローは行わない.

摩擦の理論的研究について

本題に入る前に,摩擦の研究に関する補足を行う.摩擦という現象自体はありふれており,誰もが日常で観測している筈である.摩擦なしには歩くことは出来ないし,モノを持つことも出来ない.一方で摩擦の低減(=潤滑)も重要な研究課題であり,例えばハードディスクにおいては回転円盤と磁気ヘッドの間にある空気層が潤滑を助けているという話も知られている.

これらの話は,実は高校物理でお馴染みの「静摩擦」と「動摩擦」という個別の現象に相当する.静摩擦と動摩擦のいずれかのみを扱う研究もあれば,2つの現象を統一的に理解しようという試みもある.今回話題にするのは,スピン系の動摩擦に関する結果なので,前者の比較的狭い範囲の話になる.

また,実際に摩擦というものがいかに定量的に評価されるかについても簡単に述べようと思う.一般に,ある速度{v}で運動する物体が単位時間に{P}だけ定常的にエネルギーを散逸する場合,{P}は摩擦力Fからされる単位時間あたりの仕事{\delta W/\delta t}に他ならない.これがもし{v}によって決まった値を取るとすれば,摩擦力 {F}も速度{v}の一価関数となる.この摩擦力の速度依存性{F(v)}を調べるのが,摩擦の理論的研究の究極の目標であるとも言え,ここで紹介する論文においても対応する結果が得られている.

摩擦力 {F(v)}には,少なくとも

  • Stokes摩擦: {F\propto v}
  • Coulomb摩擦: {F = \text{const.}}

という2種類の理想極限が存在し,摩擦であれば型の詳細によらず普遍的にStokes的な性質とCoulomb的な性質の両方を示し得ると信じられている.物理的には,これらは流体中を運動する固体が受ける粘性抵抗と固体同士で起こる(速度依存性のない)抵抗に相当する.

物性物理における摩擦の取扱い

ここでは,統計力学の立場からどうやって摩擦というものをextractするかについて軽く触れる.

エネルギー散逸を伴う(非平衡の)物理は,ざっくり分けて「保存系」として取り扱うか「(温度や化学ポテンシャルが一定の)非保存系」として調べるかの2種類である.保存系だと,Hamiltonianを \hat{H}_{\rm close}=\hat{T}+\hat{U}と書いた時に \hat{U}の効果を受けて \hat{T}の固有状態を特徴づける「温度」がどう変化するかに注目する.一方で,非保存系ではある \hat{H}_{\rm open}のエネルギー固有状態がBoltzmann分布に従うような指向性をダイナミクスに持たせる.

磁気摩擦はスピン系のダイナミクスであるから,全スピンに対するexplicitな(歳差運動の)方程式を立てて解くよりも,全スピンがある温度 Tの熱浴とcoupleしているという設定でMonte Carloシミュレーション(MC)を行う方が容易であることが多い.

一方で,全スピン(もしくは注目すべき一体や二体のスピン)の方程式を立てるのも不可能ではない.その方法はLandau-Lifshitz-Gilbert dynamics(LLG)として知られており,正しく取り扱えばMCと同様に十全な結果を示すことが知られている.

即ち,スピン系の動力学においては,MC及びLLGがそれぞれ非保存系及び保存系としての見方に対応している.

計算の内容といくつかの結果

Ising model及びHeisenberg modelのダイナミクスをMC及びLLGによって調べている.問題設定は,共通して「ある{h(r')}というポテンシャルがスピン系をなぞるように通過した時にどのようなフリップダイナミクスが起こるか」というものである.MCとLLGのいずれにおいても,そのような時間依存外場{h(r'=r-vt)}(後述)を導入することは困難ではないので,MCとLLGという2つの手法を用いることはむしろ結果の信頼性を高める取り組みだと思われる.

この{h(r')}の形を色々に変えてみた結果,どうやらポテンシャルの滑らかさによってStokes摩擦からCoulomb摩擦へのcrossoverが起きるというのである.

具体的には,

{h(r'):=\frac{h}{(e^{-\frac{r'}{\delta r}}+1)(e^{-\frac{1-r'}{\delta r}}+1)}}

という形を考え,{h}を一定にして{\delta r}を変化させると,ポテンシャルが(傾きが不連続な)箱型から(滑らかな)山型に切り替わる.箱型に近い場合にCoulomb摩擦がdominantになる一方,山型の場合にはStokes摩擦がそれに取って代わるというのが根幹の主張である.

もともと,スピン系におけるStokes摩擦とCoulomb摩擦を統一的な立場から理解しようという問題意識が存在した.具体的には,microscopicな視点からはStokes摩擦しか出てこないし,macroscopicには専らCoulomb摩擦であるという認識であった.

その辺の事情を理解するには,以下の2つの論文の結果を踏まえておく必要がある.

journals.aps.org

journals.aps.org

その内容を簡単にまとめると,

  • 非平衡定常状態にある2体のスピン多体系の間で起こる摩擦をMCで調べると,{\lim_{v\to+0} \frac{F(v)}{v} = \text{const.}}という特性を示した
  • 一体のスピンと多体スピンの間で起こるstick-slip motionをLLGで調べると,{\lim_{v\to+0}F(v) = \text{const.}}という特性を示した

という結果がそれぞれの主張である.

これらのcrossoverを見ようというのはよく出来た問題設定だと思う.だって,スピン多体系同士のMCは(よく見てみると)階段型のランダムポテンシャルがスピン系の上を通過する問題に過ぎないのだから,Coulomb摩擦しか出なくて当然なのだ.この立場に立つ以上は,スピン多体系同士の摩擦はある固体と固体のペアで起こるそれでしかない.ただ,この場合はIsing model特有ののstiffnessが効いているとも言うべきで,連続スピン系だとそうはならない可能性だってある.(連続スピン系なら空間的に緩く変化するポテンシャルとして振る舞う事ができるので,Stokes的な傾向を示し得る.まさかと思うが,もう既に似たような結果が示されていたり…?)

余談

2008年のPRB論文は,もともとstick-slip motionがStokes摩擦に直結するという話である.一方,多体版で同じことを考えると,stick-slip motionの回数はもちろん系のエッジのサイズに比例して増えるが,それらが重ね合わさる効果が実は要らない干渉を引き起こしていることが推論できる.つまり,スピンの通過スピードをいくら大きくしても,それらを打ち消す機構を多体効果が孕んでいるため,摩擦力{F}が素直に{v}に比例することは望むべくもないのだ.だから,この論文は「nanometer sizeの摩擦がmacroscopicなスケールまで拡大されるのはごくごく限られた場合でしか無いよ」というnegativeな主張をしているようにも感じられる.だから,元々の「microではStokes摩擦だけどmacroではCoulomb摩擦」というのはやはり健全な物の見方であり,ただ,それをつなぐような理想的なcrossoverもあるにはあるよというだけの話なのだ.

外場で駆動される結晶の転位模型(Frenkel-Kontorova model = FK)は,この見方を補強してくれる.FKは単なる格子振動とsinusoidalポテンシャルの組み合わせなので,スピン系よりももっと分かりやすい.

1次元のsinusoidalポテンシャルに沿って振り子の支点を一定速度で動かす場合,単位時間あたりに通過するポテンシャルの山の数に応じて振り子の応答が変わるのは明らかである.だから,沢山の2次元格子振り子のような系を2次元sinusoidalポテンシャルによって駆動すれば,(2次元の)面のサイズに比例して応答も大きく変化するというのは正しいかもしれないが,dragするスピードを上げるとそれに伴って応答は増加するというのはちょっと考えにくい.

しかもFKの場合は(本当は)もっとデリケートな事情があって,「結晶の格子定数とポテンシャルの周期の比率が圧倒的多くの場合に無理数となる」ことが結果的にStokes摩擦の成分を相殺しているということが知られている.

むしろ理想的な場合として,「完全に無理数比をなすFK likeな格子同士の摩擦は{0}になり,超潤滑状態が実現される」という話が知られている. 例えば

journals.aps.org

がその一例である.

だから,何が言いたいかというと,macroscopicな視点から日常に立脚した形で摩擦を研究しようと思うには,最初から多体問題としてaccessしてシミュレーションするのが近道なのかなぁと思ったりもする.もちろん,それだけでは物理は全く理解できないので,色んなスケールの世界を行ったり来たりする必要はある.

まとまりのない感想文になってしまったが,いずれにせよMCで磁気摩擦を調べる研究は(2008年に)始まったばかりなので,この後滅茶苦茶発展して欲しいと思うばかりである.

(2016/11/09追記) 何か,感覚の赴くままに恐ろしいことを書いてしまっていた.誤りだらけなので,正しい理解を得てからもう一度記事を修正しようと思う.