日本語練習帳

つらみのラプソディを歌います

呟き

arXiv

[1611.07939] Some Remarks on Drilling Percolation

統計力学の対象の一つであるpercolationの例,drilling percolationというものを3次元空間で扱っている. より正確には,立方体状の木片を x,y,z軸と平行な3方向から一斉に繰り抜くということを有限回繰り返した場合に,何回繰り返せばある面とその反対に位置する面が完全に分離するかというお話. その回数とかその他の物理量が,何らかの普遍性(universality class)で分類できるということは,以下の論文によって知られているらしい.

Critical Fragmentation Properties of Random Drilling: How Many Holes Need to Be Drilled to Collapse a Wooden Cube?

ところが,その考察が不十分だとして重箱の隅を突いたのがこのarXiv論文なんだとか.


[1611.07928] Critical phenomena on k-booklets

また新しい概念が登場した. k-bookletというものがあるらしい. 何のことはない, 1-bookletならば半無限平面であり, 2-bookletならば無限平面, k\geqslant 3だと非自明な幾何学的対象となる. その上で,self-avoiding walk(SAW) ,Ising模型,percolationを考えようというのだ.そうすると通常では考えられない現象(non-ergodicityとか)が出るらしい.


[1611.07938] q-Ising model on a duplex and a partially duplex clique

今度は,Ising模型におけるあるサイトの最隣接サイト( d次元なら 2d個)の中からランダムに q個選び,他のinteractionを遮断する,というのを全てのサイトについて行った模型を考えている. すると,通常の模型の性質を大まかに回復するためには q=2dである必要はないとか色々分かるらしい.この論文にも一応元ネタがあるらしくて,以下がそれに相当する.

Oscillating hysteresis in the q-neighbor Ising model

元ネタでも,arXiv論文でも,ネットワーク上のIsing模型を考えているらしい.


[1611.07665] Carnot efficiency is attainable in an irreversible process

熱力学では,「等温の可逆過程を用意すればCarnot効率が達成することが出来る」というのは良く知られているが,パワー(仕事率)に関する話とも合わせて「可逆過程はCarnot効率達成のために必要である」とも信じられている. ところが,適当なラチェット系を用意すれば「等温の不可逆過程からでもCarnot効率が導かれる」ということが示されてしまったらしい.ちょっと物議を醸しそうな気がするが,読んでないので分からん.

呟き

勉強

最近,机に向かって書物の行間を埋めたりすることがめっきり少なくなった.ので,西島和彦さんの『相対論的量子力学』を用いてQFTの勉強をいちからし直そうかなと思っている.日常の研究のバックグラウンドとして邪魔にならない程度に.その成果をまとめたものも,いつかは公開したいと思います.

相対論的量子力学 (新物理学シリーズ (13))

相対論的量子力学 (新物理学シリーズ (13))

本日のarXivとか商業誌とか学会誌とか

随分と遅くなった+日が空いてしまったが,昨日の朝(日本は祝日だが世界的には唯の平日)のarXiv論文をいくつか紹介する.

まず,佐々さんのエントロピー論文(のちゃんとした続き)に相当するこれ.

[1611.07268v1] Emergent symmetry in a thermal pure state path integral

確か前の金沢の学会では

「作用の次元を持つ普遍定数として\hbarを導入した理由はちゃんとあるが,また今度!」

みたいなオチだった気がするが,熱的純粋状態(thermal pure state)というモノが重要らしい.私はまだ勉強不足の身ゆえ,よく理解は出来ていないが.皮切りは,以下の論文である.

Thermodynamic Entropy as a Noether Invariant


そして,同じ京大つながりで恐縮であるが,(基研と物理学教室ではそもそも空間的に隔絶しているが)早川さんのソフトマターに関する理論計算の結果.

[1611.07295] Kinetic theory of discontinuous shear thickening for a dilute gas

粉体などのいくつかの物質でボルツマン方程式を弄ると,実験的に確認されているDiscontinuous Shear Thickening(DST)という現象と矛盾しないある曲線(Flow curve)が得られるという結果.主要な実験結果は以下に掲載されている.

Shear Thickening and Migration in Granular Suspensions


そして,我が専門分野である摩擦の研究(初カミングアウト…?)に関するものも今回は紹介します.

Tuning friction atom-by-atom in an ion-crystal simulator | Science

この論文によると,著者らは光学格子(optical lattice)を用いてイオンをトラップし,

格子を自在に傾けてstick-slip motionを実現させることによって現実に観測されている摩擦がstick-slip motionの多体効果である

ということを示している.指導教員との議論で

こんなのきっとあるでしょ

みたいな感じで登場したことがあるので,「あれ,まだなかったんだっけか?」とか思ったが,これは本当に世界中が注目するでしょうね.余談ですが,普段ScienceとかNature等の商業誌に触れることが少ないせいか,目に飛び込んでくる図がいちいち凄い.まさに広告代理店並み(失礼).


更に,関連する摩擦の論文として,グラフェンとDiamond-like Carbon(DLC)の間で観測されるSuperlubricity(超潤滑)に関するものがこちら.

Macroscale superlubricity enabled by graphene nanoscroll formation | Science

Superlubricity自体は,格子の構造(ハニカムとか三角とか)がマクロに影響を及ぼして摩擦力を低減するという効果として広く観測+研究されてきたが,ここではむしろ特異なSuperlubricityを扱っている.2つの物質の間で車輪のような役割を果たす小さい粒粒(剛体球)がたくさん存在すると,それらがちゃんとSuperlubricityをサポートするというものだ.ここでは,Crystalline Diamond Nanoparticleというものがその役割を果たしている.


最後に,「イオン伝導体に外場がかかった時にキャリアイオンがあるサイトから隣のサイトに飛び移る確率(hopping amplitude)が,実は古典的なBoltzmann分布ではなくて,修正された量子力学的な確率に従うよ」ということを示す論文を紹介する.モデルも解析方法も現象も非常にシンプル.結局は電気伝導のミクロな理解は量子力学でないといけないということだ.

[1611.07402] A model violating the Boltzmann distribution

最後に

本当はもっと頻繁に更新をしないといけないのだが,あまり手を付けられていない.そのうち,今月の中旬にあった数理物理・物性基礎論セミナーのレビューとか,普段火曜に本郷で行われるMITセミナーとかいうやつもちゃんとまとめていきたい.後,アニメとかラノベのレビューもしっかりと.

呟き

エネルギーと(系の特徴的な)時間について成り立つ不確定性関係は、大学でほんの少しでも物理に触っていればお馴染みの事実であるが、位置と運動量についてのそれとは証明の指針が異なるのもまたよく知られた事実である。

その一つの指針を示したのが、Mandelstam及びTammであったというのは今日に至るまで知らなかった。

出典は岩波講座 現代の物理学という化け物のようなシリーズの第3巻『量子力学』で、著者は河原林研さんという既に亡くなられた物理学者である。

その方針とは、三角不等式とHeisenbergの運動方程式をシンプルに組み合わせるというもので、ある期待値についての関係式が導かれる。期待値だからSchrödinger描像にも移行可能である。肝心の時間の定義が割と面白くて、ある演算子の時間変化の期待値を求め、それ自身で演算子の期待値を割ったものを考える。そしてこれを可能な全ての演算子について求めた後、最小値を「系の特徴的な時間」とする。そうすると、不等式としてはギリギリの強い主張になるというわけだ。

折角なのでこの辺りの基礎は抑えておきたい。

呟き

Windows8.1が搭載されたマシンでSlackware64をUEFI Bootするために必要な、いくつかのインストール手順について、以下のサイトが参考になりそう。実際に参考になれば記事をまとめ直します。

www.linuxquestions.org

動機としては、既にプリインストールのWindowsUEFIモードなので、Slackwareを起動するためだけにそこをわざわざBIOSの設定でLegacyモードに変更するのは癪だという話。WindowsSlackwareUEFIで起動せよというお気持ち。

数値計算を研究室のmacでやるようになってから、例えWindowsマシンであっても、そういうことをする時はLinux上でやるのが自然な流れだと思った。

呟き

リゼロの6,7巻を読了した.RPGで言うところの「どん底への落下」からの「作戦会議」が漸く始まった感がある.

Physica A

Magnetic properties of a diluted spin-1/2 Ising nanocube

spin-1/2の六角格子を更にspin-2/3の格子で1次元的に取り囲んでそれをz軸方向に沢山コピーした六角柱型のIsing mixed spin系を調べている.(free energy的な意味で)1次転移とか2次転移が起きるらしい. compensation phenomenaって何だろう.直訳すると「補填効果」かな.後,三重臨界点も存在するらしい.isolated critical pointって何だろう.「孤立臨界点」…? このへんの話は,磁気光学ディスクとかの応用と関係があるらしい.


Exactly solved mixed spin-(1,1/2) Ising–Heisenberg distorted diamond chain

これもある種のmixed spin系である.

arXiv

夜にまたチェックします.

APSJ

Phys. Rev. X 6, 041029 (2016) - Geared Topological Metamaterials with Tunable Mechanical Stability

トポロジカル系を歯車によって実現し,電気伝導とか諸々をいろいろ調べたところ,目に見える格子の形状と(純力学的な物に限らない非自明な)物理的特性がある程度対応してわかったという画期的なお話.


Phys. Rev. X 6, 041007 (2016) - Electron Doping a Kagome Spin Liquid

カゴメ格子のスピン液体をtomochemical synthesisという方法によって遊んでみたやつ.

帰り道 + 呟き

買い物

寒い中をわざわざ寮に帰る時間を押してまで新宿のアドホックビルにある紀伊國屋書店まで寄った.

その目的はこれを買うためである.

もともと,5巻を読んでいる最中であったが,どうも手元に続編が無いと落ち着かないもので,Amazonを頼るでもなくこうやって書店に直接足を運んだ.

東京に来てからというもの,割と普段使う鉄道の沿線でふらっと歩いていける場所に書店がないのが気になる.まさか「神保町へ行く気力もないのに本が読みたいなどと抜かすでないぞ」ってわけでもないだろうし,やっぱり梅田周辺に(偶然)密集していただけだったのかな.ちなみに,梅田周辺には

と大型書店(ヒルトンは例外かもしれないが)が立ち並んでいる上に中規模の書店やオタクショップもがっつりあるのだ.

…ここまで書いてから,自分があまり秋葉原や渋谷でお金を貢いでないことに気付かされた.秋葉原は何度も足を運んだ割にピンポイントで欲しい物を買いに行ったことがあるだけだから,真に「彷徨く」ということをしてみるべきなのかも知れない.ただ少なくとも,まんだらけ秋葉原よりも(心斎橋の)グランドカオスの方が色々置いてあったなぁ.

アニメ

昨晩は偶然,イリヤの空,UFOの夏のOVAを(途中までだが)観る機会を得た.原作は一家に一冊と言われるこれだ.

DVDについてはもはや新品では販売されてなくて(原作が2001年のものなのだから当然),こうやって中古で漂流するのをキャッチするしかないわけである.

イリヤの空、UFOの夏 1 [DVD]

イリヤの空、UFOの夏 1 [DVD]

私は原作しか読んだことがなく,読んだのも高校1年の頃だったので,そうとうにストーリーを忘れてしまった.しかし,何となく話のテンポが速くて,「早く次が読みたい」と思わせるようなものでもなかった気がする.

むしろ,こう「目を背けたくなるようなシーンが来るのを予期してページをめくるのをついつい渋ってしまう」とか「ずっと終わらないで欲しい,感慨に浸るためなら読むのを辞めるのだって厭わない」という気持ちに類する作品だったような.読んだあとも,(もちろん泣ける作品ではあったのだが)うーむ,と考え込んでしまってそれっきりみたいな感じになってしまった記憶がある.私の性格がそうさせたのか,むしろちゃんと読んでいなかったのか.

いずれにしろ,このOVAに触れるのは初めてで,あまり乗り気でなかったものの,夜遅くなのに一気見してしまいそうなほどには良い出来のアニメであった.この時代の作品特有の作画というか,電撃文庫の黎明期の象徴というか,そういうものが溢れていて,「限界オタク」にならざるを得ないオタクの気持ちがわかった気がする(懐古オタク).

灼眼のシャナとかも途中で読むのすらやめてしまったし,ちゃんと読み終わった上でアニメと映画は見届けたいですね.

あともう一つ,今期のアニメで少なくとも

flipflappers.com

だけはもっと評価されるべきだと思った.

呟き

arXiv

有限サイズのdouble-well trapに押し込められた凝縮体(BEC)が安定であるためには,Josephson junctionを通じて流れる粒子の特徴的なtime scaleが短い(流れが十分速い)ことが必要であることが示されている.

Nonequilibrium Josephson oscillations in Bose-Einstein condensates without dissipation

直感的には,浴槽で水が溢れないためには浸かる人間がそれなりに速く運動する必要があるという(みんながやったことのある)それに対応するだろう.運動を断熱的にゆっくりしていくといつか水が溢れ始めて大変なことになる.その臨界点みたいなのが共鳴振動数になっている.ただ,この論文の場合はむしろ粒子浴が2つあってその間を流れる粒子流のJosephson oscillationの振動数がtime scaleと結びついているので,古典的な描像からはちょっと遠い.

元となる論文はPRLのようだった.

journals.aps.org


上の論文について,一旦粒子が溢れ始めて(基底状態における)Josephson振動が(異なる離散準位間の)Rabi振動に切り替わった場合にどのような凖粒子生成ダイナミクスが予想されるかという問題に対する答え. もちろん,圧倒的非平衡状態に持っていかれるのは自明だが,そこでもいくつかの(非自明な)ことが言えて,Keldysh-Bogoliubov方程式というのを使えば色々分かるらしい.ぶっちゃけ専門外なのでさっぱりであるが,まともに勉強してみると間違いなく面白い分野だと思った.

Inflationary quasiparticle creation and thermalization dynamics in coupled Bose-Einstein condensates

これも元はPRLにちゃんと上がってる.

journals.aps.org


Contact angle entropy and macroscopic friction in non-cohesive granular packings

粉体を2次元上の円の充填(あるいはひょっとすると3次元での急の充填)という描像で捉える場合に,Contact angle entropyという量を用いると,その摩擦を評価することが出来るという話.3つの球が互いに接する角度が全体にどのように分布しているかを評価するのが(おそらく)文字通りContact angle entropyで,そこから直接的にmacroscopic frictionが分かるというのは,いかにも(表層的な物理量に依存しない)物理という感じがして良い.時間があったらちゃんと読んでみよう.


Critical behavior of mean-field XY and related models

今日見た中で一番数学的な考察が色濃い論文で,ちょっとタイトル詐欺だなと思った.完全グラフ上でスピン系(ここではXY模型)を考えた場合,どうやら頂点の数が多い極限が平均場に相当するらしい(物理の意味での平均場と等価かどうかは知らない).そのような場合には一般の {N}ベクトル模型に結果を拡張しつつ色んな事が言えて,それでも見ている量は(無限小外場の下での)磁化だったり自由エネルギーだったりする.こういうのは全く読み慣れていないので,一度はちゃんと目を通すべきかも知れない.


研究

とりあえず,energy pumpingとenergy dissipatonのbalancingが非平衡定常状態で,その描像のもとでの摩擦評価もちゃんと出来るということが数値データ及びグラフからもわかった.

あとは,DWがあるときに圧倒的なtime stepを稼いでちゃんとNESSが実現されているかどうかをみるだけだが,無理そうならそのデータとともに簡単な理論的考察も据えてgive up するしかないんだろうなぁ.